君とのあいだにすきま風が吹くようになったのはいつからだろう
あの夏をさかいにしだいに距離があいていくのを僕は感じていたよ
あの夏何があったのか僕にはわからない
でも君にとっては重要なことだったのだろう
さっぱり姿を見せなくなった君のこと風の便りに聞いたよ
どうやら大きな誤解があったようだけどどうしようもないことさ
言い訳しようと思わないしそれは君も同じだろう
これで縁が切れても僕はかまわない
それなのにいったいどういう風の吹き回しっていうんだい
何もなかったような顔して君はひょこり前触れもなくやって来た
君はこれからもたびたび会おうよと言ったけれど
木枯らし吹きすさぶ秋の夕べのようで
確かに君は僕に会いに来て笑いを交わしたりもした
以前のように屈託なくというわけにはいかなかったけれど
もちろんそれはしょうがないことだろう
溝を埋めるのはたやすいことじゃない
君は本当に気まぐれを絵に描いたような人だね
またご機嫌そこねたようで言葉の端々に苛立ちが見え隠れ
今度ばかりはこれで終わりだねそう思うよ
お互いそれでいいんだよ
さよなら僕はもう戻らない 不毛なあの時代に戻らない
[解説] 拓郎の 『親切』 は好きな歌の一つです。高校生の頃、この歌は男のことを歌っているのかい? それとも女のことかい?って読解力のない僕はそれこそ真剣に考えたものです。それで僕もそんな詩を書いてみたいな、と思っていたのですが、この詩 はたして僕の企み通り、みなさんを惑わせることが出来たのかどうか・・・。